【タッチケア】認知症や痛みが改善 オキシトシンを出す方法/ガッテン
今週のテーマは、「癒しホルモン」。
触れるだけで、認知症や関節痛が改善?
高血圧やストレスにも効く?
ハグでホルモンが激増。
「オキシトシン」と、「タッチケア」。
<体験談>
リウマチの痛みが、軽くなった。
認知症だったのに、徘徊がなくなった。
被災地では、ストレスや不安を抑える効果も。
<オキシトシンを出す方法>
石黒浩さんの一人暮らしを癒すロボット。
抱き枕+電話。
<家庭でできる お手軽タッチケア>
解説:東京医療学院大学 佐久間康夫 学長。
2016年6月1日放送の「ガッテン」より、「痛み&認知症に効く!“癒やしホルモン”の驚きパワー」からのメモ書きです。

□ 驚異のタッチパワー

フランスで、ある実験が行われました。
<男性が街を歩く女性に声をかけ、どれだけ電話番号を聞き出せるか>
その成功率を調べます。
実は、声をかける時に「あること」をしただけで、成功率が2倍に!
その「あること」は、今、医学界大注目の行動なんです。
なんと、認知症の症状が改善。
全身の関節痛が、軽減。
「あること」がきっかけで、病気やストレスを軽くしてくれる物質が、身体の中に出てくるのだという。
その物質とは?
さあ、話を戻しましょう。
電話番号を聞き出すフランスの実験で、成功率を高めた「あること」とは、何なのでしょうか?
それは、「腕に触れた」。

でも、触れると、どうなるの?
実は、身体に触れると、脳から「ある物質」が大量に出てくるんです。
これが、身体に様々ないいことを、もたらしてくれる。
さっそく実験です。
<究極のボディタッチ ハグで大実験>
ショッピングモールに来ているカップルに、試着室のようなカーテンの中で、5分間、ぎゅ~っと抱きしめ合ってもらいます。
その前後で唾液を採取し、身体に何が起こっているか調べる。
結果、「あるホルモン」が激増した人たちがいました。
平均で、25%増えたという。
特に増えた人たちでは、34%、66%、84%と、アップした。
ちなみに、女性ホルモン「エストラジオール」は、変化なし。
男性ホルモンも、変化なし。
触れると増える、ホルモン。
名前を、「オキシトシン」といいます。
あまり聞かない名前ですが、多くの人が知る国もあるのだとか。
それが、ゲストの LiLiCo(リリコ)さんが関係する国。スウェーデンだ。
彼女は、スウェーデン生まれ。父親がスウェーデン人で、母親が日本人なのです。
スウェーデンの人たちは、オキシトシンを知っているようです。
「ハッピーホルモンだよね」とか言ってる。
ハグすると出ることも、ちゃ~んと知っているようだ。
スウェーデンの小学校や保育園では、肌に触れるケア「タッチケア」が指導されているのだそう。
スウェーデンは、オキシトシンが持つ力に、いち早く注目。
触れることによって身体の中に出てくるオキシトシンを、様々な医療に応用する取り組みが、行われているんです。
その効果として、子どもたちの問題行動や乱暴な行動が減ったのだとか。
落ち着きがなかった子が、落ち着きがあるようになったとの報告も。
カロリンスカ大学病院には、世界最先端の医療が。
様々な病気の患者さんに、タッチケアが行われています。
特に効果があるのは、身体に痛みを抱える人。
[慢性の痛みを持つ患者さん]
5年前から、肩と腕に強い痛みを訴えてきました。
腕の痛みが激しくて、手がレンガを持っているような感覚だった。
でも、治療を1週間続けたら、痛みが軽くなり、身体がとっても楽になったのだそう。

オキシトシン研究の世界的権威、シャスティン・ウヴネース・モーバリエ博士。
こう教えてくれましたよ。
「オキシトシンは身体の中で、様々な素晴らしい効果を見せてくれます」
「そのため、タッチケアは、老人から子どもまで幅広く使われ、病院では、がんや痛みのある患者への治療も行われているんです」
日本では、どうでしょう?
[体験談(1)]
8年前から体中の痛みに苦しむ、女性。
病名は、リウマチです。
全身の強い痛みで、仕事を辞めざるを得ませんでした。
ずっと痛くて、痛くない時がない。
あまりの痛さに、朝まで 眠れないことも。
痛み止めの薬も様々試しましたが、効果はほとんどなかったという。
もう、さじを投げた状態だった。
そこで、知り合いの看護師にお願いし、タッチケアを受けることに。
背中を10分間、ゆっくり、さすってもらいます。

すると、楽になった。
焼けるような手の痛みが、きれいになくなったという。
歩くのも、楽です。
首が回せると、笑顔に。
腰も楽に動かせます。
□ タッチケアの効果

タッチケアの効果は、それだけではありません。
血圧も、下げる。
高血圧の人に、背中をなでるマッサージを10分間、週に3回行いました。
すると、血圧が10下がったという報告が。
さらに、今 最も注目されている効果が、「認知症」に対するものなんです。
[体験談(2)]
認知症の女性。
一人の世界に閉じこもりがちで、徘徊(はいかい)を繰り返していました。
娘さんが介護しようとすると、「触るな!」と拒絶することも。
困った行動に、娘さんは途方に暮れてしまいました。
そんな時、友人から紹介されたのが、タッチケアだった。
娘さんが半信半疑で試してみたところ、お母さんからこんな言葉が…。
「十分、気持ちよくなったから、ありがとう。ありがとう」
乱暴な言動が多かったのに、感謝の言葉が出たのです。
さらに、このケアを毎日10分間、1週間続けたところ、大きな変化が現れました。
乱暴な言葉や行動がすっかり減り、なんと、徘徊もなくなったのです。
本人も、このような感想を。
「言葉では、言い表せない」
「本当にうれしくって、涙が出ます」
タッチケアで、病気自体がよくなるわけではありません。
けれど、続けることで、病気による様々な症状の改善が期待できる。
<オキシトシンに期待される効果>
・認知症の改善薬
・鎮痛剤
・抗不安薬
・降圧薬
・睡眠薬
・ホレ薬
東日本大震災の避難所でも、タッチケアが行われました。
実は、触れるということには、震災のような極度の不安やストレスですら、抑えてくれる効果があるんです。
なので、熊本の地震の被災地でも、タッチケアが行われているのだとか。
□ メカニズム

人間が、痛みやストレス、強い不安に襲われた時、脳の中では、こんな変化が起こってるんです。
興奮しているのは、「扁桃体(へんとうたい)」。
扁桃体は、痛みやストレスがかかった時、不安や恐怖を感じる場所。
この扁桃体が、慢性の痛み、認知症など、症状の悪化に深くかかわるということが、分かってきました。
でも、興奮した扁桃体を、なだめてくれる存在も。
それが、「前頭前野(ぜんとうぜんや)」。
理性をつかさどる場所です。
前頭前野は、扁桃体の興奮を、鎮めてくれるんですね。
しかし、ずっと痛みが続いたり、強いストレスが長期間続くと、扁桃体はずっと興奮しっぱなしに。
すると、どうなるか?
痛みがさらに、増幅されてしまうんです。
さらに、血圧が上昇。
不眠の症状まで。
では、そんな時、タッチケアをすると、どうなるか?
そう、オキシトシンが増えます。
すると、どうでしょう、オキシトシンが扁桃体に直接働きかけ、興奮を鎮めてくれるのでした。
結果、扁桃体が引き起こしていた様々な症状も、引っ込んでいくというわけ。
□ 佐久間康夫 先生の解説
ここで専門家の先生が登場。
東京医療学院大学の 佐久間康夫 学長です。
触れると、触覚が脳に伝わり、視床下部からオキシトシンが出ます。
「手当て」には、こんな効果もあったんですね。
ぬくもりだけではなかった。
佐久間先生によると、面積が広く当たった時、安心感が出るそうです。
そして実は、触れることの安心効果は、人間だけじゃなかった。
例えば、ケンカをしたチンパンジーは、抱き合います。
さっきまでケンカしていたニホンザルも、抱き合いましたよ。
ハグしたり、毛づくろいしたり。
コミュニティーや社会が壊れると、おサルさんたちも困ります。
群れを維持するために、オキシトシンは進化してきたのだ。
途中でケンカをやめ、抱き合い、オキシトシンを出して、興奮を鎮める。
仲間と寄り添うことが、生き残るために、最も重要な手段なのです。
仲間割れなんかしている場合じゃない。
人間も、けっこう、やってますよね。
スポーツなどでエキサイトして つかみ合っても、背中をポンポンと叩いたり、軽く抱き合ったりして、また戻るとか。
オキシトシンですが、実は、触られる側だけでなく、触る側にも効果が。
どちらにも、ちゃんと出る。
ただし、誰でもいいというわけではありません。
オキシトシンは、安心・信頼できる人との触れ合いで出る。

触れることが、日常のストレスから、認知症、痛みまで、軽減してくれるんです!

ガッテン! ガッテン!
□ オキシトシンを出す方法

一人暮らしの人、必見!
身体に触らなくても、オキシトシンが出せる!
アメリカ、ウィスコンシン大学の レズリー・セルツァー博士。
彼女は、オキシトシンについて、ある注目の実験を行った。
7~12歳の女の子たちに、大勢の前で、スピーチしてもらいます。
子どもにとっては、ものすごいストレスですよね。
その直後、あることをすると、オキシトシンがすごく増えました。
結果、ストレス値(唾液中コルチゾール)も大幅に下がったという。
さて、何をしたんでしょうか?
ひとつは、スピーチ直後の、「母親によるハグ」。
これで、すごく出る。
でも、もう一つ、あるんですよ。
ヒントは、スマホ。
答えは、「母親に電話する」でした。
自分が信じられる、好きな人の声を聞くだけで、オキシトシンが出るんですね。
さらに効率よく、オキシトシンを出す方法が。
登場したのは、人間そっくりのアンドロイドの開発でおなじみの、大阪大学 教授で、ATR石黒浩 特別研究所 所長の 石黒浩さん。
雑誌「Science(サイエンス)」の表紙を飾ったこともある、すご~いお方。
世界を変える天才と言われる、ロボット研究の世界的権威だ。
(ちなみに、マツコ・デラックスさんのアンドロイド、「マツコロイド」も先生が作ったのだとか)
石黒先生の目標は、人間の代わりになるほどの高度なロボットを作り上げること。
そこには、人間そのものをより深く知りたいという思いがあるのだとか。
「ロボットが好きで作ってるわけではなくて、人とか自分とかを理解しようとして、人らしいロボットを作ってですね、人を理解しようと考えるわけですよね」

そんな先生が今 開発しているのは、「一人暮らしの人の心を癒すロボット」。
「人と人が触れ合う時に、何が大事なのか?」
「ロボットを通して安心感を感じることができれば、もちろん、ホルモンにも影響が出るわけですね」
さて、それは、どのようなものなんでしょう?
実は、それがこれ。

見た目は、まるで、抱き枕。
ポイントは、顔の部分にあるポッケ。
実は、ここにスマホを入れるのだ。
すると、肌に触れあいながら、声を聞くことができる。
「声+手触り」→ 相手の存在を感じて、オキシトシンが出る。
声だけだと存在を感じられないけど、これには、人間のような抱き心地、触感が。
そこでさっそく、試してもらいました。
1人目は、夫と死別した女性。
以来、一人暮らしです。
何よりの楽しみは、時々かかってくる孫からの電話。
2人目の女性も、上京してしまった孫の声を待っています。
おふたりにやってもらったのは、これ。
「孫との電話の時に、抱き枕を使ってもらう」
枕を抱いた状態で、孫と電話。
これがもう、ホントに、うれしそう。
抱き枕のおかげで、身近にいる感じが、するようですね。
おふたりの中では、ちゃんとオキシトシンが出てました。
□ 簡単 タッチケアの方法
<家庭でできる! お手軽タッチケア>
(1) まず、イスの背やテーブルにもたれ、楽な姿勢をとりましょう。
(2) 両方の手のひらを背中にぴったりとつけ、背中全体をなでる。
1秒間に5センチ程度の、ゆっくりとした動きです。
手のひらでアイロンをかけるようなイメージ。
(3) 1回 10分が目安。
やる方の人にも、オキシトシンが出ます。

![健康プレミアム Vol.10 2016年 05 月号 [雑誌]: NHKためしてガッテン 増刊](http://ecx.images-amazon.com/images/I/610smO7fu9L._SX270_.jpg)


次回は、食材がテーマ。
おいしい豆の見分け方は?
「初夏だ! そらまめパラダイス」。
[関係する記事]
→ 「治るタイプの認知症と脳脊髄液」
→ 「長生きホルモンを増やす 壁ネクチン体操」
→ 「認知症予防に感トレ 色カルタ&シナプソロジー」
→ 【認知症予防】 写経とお香で



「寛解について」
昨日の「ためしてガッテン」で、「寛解(かんかい)」ということに対して誤解が出ているそうです。
寛解とは、病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態。
完治したわけではないけれど、見かけ上、まるで消失してしまったような状態になることもあります。
ある程度、臨床的にコントロールされた状態ともいえる。
番組でも、この点については、ちゃんと説明されていました。
といっても、視聴する人は、細かに見ているわけではありません。
(ブログでレビューするようなモノ好きは別ですが)
恐らく多くの人は、「関節リウマチは治るのか」と思ったでしょう。
中には、完治するものと誤解した人だって、いたかもしれません。
でも、番組が伝えたのは、
関節リウマチを発症から6ヵ月以内という超早期で見つけ、なおかつ、最近出てきた薬である生物学的製剤という注射でサイトカインの増加を抑えられた場合、症状が悪化する前に進行を止められる可能性が出てきたということ。
ここにはいくつもの、条件があるのです。
番組でもそれについて触れていたわけですが、ちゃんと見てくれるかどうかは、視聴者次第の部分があります。
条件を抜き出せば、
(1) エコー検査などで、超早期に見つける。
(2) サイトカインの嵐を抑えるような治療を開始する。
(3) なおかつ、薬が効くこと。
などがあるのではないかと思います。
そして、それが効いたとしても、完治したというわけではなく、悪化を抑えているといった状態。
これが、病気の症状が一時的あるいは継続的に軽減した状態という、寛解の状態なのです。
さらに、このような検査や治療法が確立する前に発症し、悪化してしまった人は、この治療法が受けられるわけではない。
番組が伝えたように、全身の激痛に悩まされたり、骨が変形したり、家事や日常生活にも、たいへんな苦労をすることになります。
なので最後に、メッセージのようなVTRを加えたのでしょう。
不理解は患者さんをいたたまれない気持ちにするし、逆に、ちょっとした気遣いが、心を救ってくれると。
実は、このような「条件無視」は、いたるところにあるのではないでしょうか。
当たり前ですが、条件が変われば、結果が変わります。
にもかかわらず、条件が注目されず、同じだと勘違いされてしまう。
場合場合で結果が変わるということ、置かれた条件でいろんなことが変わること、そういうのが忘れられがちなのかもしれません。
寛解とは、病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態。
完治したわけではないけれど、見かけ上、まるで消失してしまったような状態になることもあります。
ある程度、臨床的にコントロールされた状態ともいえる。
番組でも、この点については、ちゃんと説明されていました。
といっても、視聴する人は、細かに見ているわけではありません。
(ブログでレビューするようなモノ好きは別ですが)
恐らく多くの人は、「関節リウマチは治るのか」と思ったでしょう。
中には、完治するものと誤解した人だって、いたかもしれません。
でも、番組が伝えたのは、
関節リウマチを発症から6ヵ月以内という超早期で見つけ、なおかつ、最近出てきた薬である生物学的製剤という注射でサイトカインの増加を抑えられた場合、症状が悪化する前に進行を止められる可能性が出てきたということ。
ここにはいくつもの、条件があるのです。
番組でもそれについて触れていたわけですが、ちゃんと見てくれるかどうかは、視聴者次第の部分があります。
条件を抜き出せば、
(1) エコー検査などで、超早期に見つける。
(2) サイトカインの嵐を抑えるような治療を開始する。
(3) なおかつ、薬が効くこと。
などがあるのではないかと思います。
そして、それが効いたとしても、完治したというわけではなく、悪化を抑えているといった状態。
これが、病気の症状が一時的あるいは継続的に軽減した状態という、寛解の状態なのです。
さらに、このような検査や治療法が確立する前に発症し、悪化してしまった人は、この治療法が受けられるわけではない。
番組が伝えたように、全身の激痛に悩まされたり、骨が変形したり、家事や日常生活にも、たいへんな苦労をすることになります。
なので最後に、メッセージのようなVTRを加えたのでしょう。
不理解は患者さんをいたたまれない気持ちにするし、逆に、ちょっとした気遣いが、心を救ってくれると。
実は、このような「条件無視」は、いたるところにあるのではないでしょうか。
当たり前ですが、条件が変われば、結果が変わります。
にもかかわらず、条件が注目されず、同じだと勘違いされてしまう。
場合場合で結果が変わるということ、置かれた条件でいろんなことが変わること、そういうのが忘れられがちなのかもしれません。



関節リウマチを超早期発見! サイトカインの嵐を抑えろ/ためしてガッテン
治らないと言われていたリウマチが寛解するって、本当?
サイトカインの嵐と早期発見の関係は?
カギを握るのは、6ヵ月だ。
生物学的製剤とは?
グーパー運動で、指が動くようになる?
今日のテーマは、リウマチ(リュウマチ、リューマチ)です。
ある日突然、手足に激痛が走るのだという。
埼玉県に住む47歳の女性は、リウマチのために手の指(の骨)が変形してしまいました。
腕を伸ばしたり、屈んだりするだけで、関節を針で刺すような痛みに襲われるという。
夜中に目が覚めてしまうため、普通に寝ることもできません。
2007年7月に、ガッテンでは「あなたを襲うリウマチ 患者100万人の真実」を放送。
関節に起こる骨の破壊、30代や40代でもかかることがある病気であること、早期発見が大事であることなどを、お伝えしました。
でも、街の人々の意識は、そんなに変わってないようです。
他人事であったり、お年寄りがなるイメージが、根強い。
でも、朗報もあります。
この5年の間に、医療が進化していたのです。
関節が壊れる前に、関節リウマチの勢いを抑えてしまう、そんな言葉が聞かれました。
リウマチで寝たきりだった人が走ってる。
これは、どういうことでしょう?
2012年12月12日放送の「ためしてガッテン」より、「関節が痛む人必見!知らぬ間にリウマチ治療が大進化」からのメモ書きです。

□ リウマチは治るか?
・まずは、5年前の放送の
復習から。
・関節リウマチは、
全身に激痛が走る。
・骨まで破壊される。
・進行を止められない。
・なので、早期発見が重要。
・でも、5年間で変わったことも
あるという。
・ここで登場したのが、
蝶々を持った黒子さん。
・本日の主役と書かれた
タスキをしています。
・リウマチの症状が書かれた
岩の上に蝶がとまると、
何か文字が出てきました。
・「寛解(かんかい)」と書かれている。
・寛解とは、完治ではないけれど、
症状がおさまり、ほぼ普通に
日常生活が送れる状態。
・つまり、
絶対に治らないと言われていた
あのリウマチの症状が
かなり軽減するということ。
□ リウマチの症状
・5年前、ガッテンで紹介した
患者さんの女性。
・両手の指、手首、ヒジ、肩も、
1年365日、ずっと痛い。
・あまりに痛いので、
包丁を握ることもできません。
・洗濯バサミをつまむだけで、
激痛が走ります。
・特に難しいのが手をひねる動作で、
そのため、ビンを開けるのに
補助具を使う。
・私たちの関節は、
滑膜(かつまく)という
膜に包まれています。
・滑膜からは、関節を
スムーズに動かすための
潤滑液が出ている。
・関節の中を実際に見てみると、
とっても滑らかなんですよ。
・しかし、関節リウマチになると、
これが一変してしまいます。
・関節の中が、ビロビロ。
・激しい炎症が起きて、
滑膜がボロボロになっちゃうんです。
・やがては骨まで破壊され、
大きく変形してしまう。
・埼玉県に住む47歳の女性は、
15年前に関節リウマチを
発症した。
・手の指が変形し、
曲がったままになってる。
・薬で何とか
痛みを抑えているのですが、
床に落ちた物を拾うだけで
激痛が走ります。
・なので、
マジックハンドを使う。
・お皿も持てないので、
お子さんなど
家族に助けてもらいます。
・毎日の家事が、
もうたいへん。
・病気の始まりは31歳の時、
肩の痛みを感じたことから。
・病院で診察してもらったところ、
検査の結果は
関節リウマチではないと言われた。
・4軒回ってようやく、
早期の関節リウマチだと
診断されました。
・ところが、
同じ早期の関節リウマチでも、
その後の経過がまったく
異なる人がいます。
・こちらは、
埼玉県に住む31歳の女性。
・全身が重くて刺さってて、
とにかく痛かったといいます。
・ずっと寝たきりの状態になって、
そのまま死んじゃうのかと
思ったほどです。
・それが薬を服用すること、1年。
・今では家事も、難なくこなします。
・ジョギングだって、してるんだ。
・でも、スタートが同じなのに、
どうして差が出たんでしょうか?
□ 症状の差
・手のX線写真を見ても、
47歳の女性Aさんと
31歳の女性Bさんでは
違いが明らか。
・47歳Aさんの指は、
かなり曲がっています。
・31歳Bさんの指は
まっすぐで
異常が見当たりません。
・ちなみに女性は、
30代40代の発症率が
高いそう。
・患者の比率は、
男性1に対し、女性は4。
男1:女4 です。
・診断を受けた時の病名は、
Aさんが早期関節リウマチ。
・Bさんも早期関節リウマチ。
・でも、この「早期」に
秘密が隠されているといいます。
・ここで、
関節リウマチを探せ!
・現役バリバリの医師たちが、
関節に起きている異変を
見破れるか実験です。
・用意したのは、3つのX線写真。
・素人には見分けがつきませんが、
プロならどうでしょう?
・実は1枚目は、
変形性関節症。
・これには、整形外科の先生が
正解しました。
・2枚目は骨折で、
これは全員が正解。
・じゃあ、3枚目が、
関節リウマチ?
・5人中、関節リウマチだと
答えた人は、
整形外科のベテラン医師
1人だけでした。
・でも、それも「?」付きで、
ちょっと自信なさ気です。
・実はそれほど、
診断は難しいんですね。
・X線写真に写る
骨が破壊されはじめた部分は
わずかなんです。
・リウマチの診断は
画像検査だけでなく、
問診や触診、血液検査などで、
総合的に判断されます。
・さて、AさんとBさんの話に戻ります。
・発症ですが、
47歳のAさんは
最初に肩が痛くなった。
・これが、31歳の時。
・31歳のBさんは、
手の指が痛くなりました。
・これが、30歳の時。
・関節の炎症である
滑膜炎であったのは
ふたりとも同じ。
・投薬ですが、Aさんは、
抗リウマチ薬、炎症剤、
鎮痛剤など。
・Bさんの薬は、
抗リウマチ剤など。
・ふたりの違い、分かりましたか?
・答えは、蝶々?
・てふてふ?
・お蝶夫人?
・黒子が操る蝶々がとまったのは、
診断された年代。
・Aさんは1998年の1月で、
Bさんは2011年の10月でした。
・蝶々は、Bさんの日付にとまりましたよ。
・これが意味するのは、何なんでしょう?
□ キーワードは、超早期
・関節リウマチが
重症化してしまうか否か、
その運命を分ける瞬間が
あったといいます。
・体に異常がないか
血管の中をパトロールする
免疫細胞。
・ウイルスや細菌を見つけると、
すかさずサイトカインという
物質を放出。
・このサイトカインは
いわば伝令役で、
敵の襲来を他の免疫細胞に
知らせてくれる。
・これによって免疫細胞が集結、
敵であるウイルスや細菌を
殲滅してくれるんですね。
・こうして私たちの体は、
外敵から守られているのです。
・ところが、
関節リウマチが発症する時は、
違ってきます。
・いつもはきちんと
敵を見分けていた免疫細胞が、
自分の関節を敵だと認識。
・サイトカインを放出し、
他の免疫細胞に呼びかけ、
攻撃してしまうのです。
・自分の体の一部なのに。
・こうして起こるのが、
滑膜炎なのでした。
・しかもです、
関節はウイルスなどと違って、
攻撃を受けても
なくなることはありません。
・いっこうに減らないので、
サイトカインは激増。
・まさに、サイトカインの嵐。
・大量のサイトカインが
免疫細胞を招集し、
関節を総攻撃させるのでした。
・こうなるともう
破壊は滑膜だけにとどまらず、
ついには骨まで
やられちゃうんですね。
・こうして、骨の変形が
起こるのでした。
・上で紹介した
サイトカインの嵐が起きる前に
治療を始めることが
できるかどうか、
これが5年前には
分からなかったことらしい。
・黒子さんの蝶々には
意味がありました。
・蝶々がくっついてたのは、
日付ではなく、
早期関節リウマチの部分だった。
・つまり、
蝶早期関節リウマチ。
・ちょう早期関節リウマチ。
・超早期!
・バンザーイ! バンザーイ!
・昔の大喜利かっ!
・超早期に発見できると、
元の生活に戻れるのか。
・では、超早期とは、
どのくらい早期なんでしょう?
・Bさんの発症は、2011年の8月。
・診断されたのが2011年10月なので、
その間は2ヵ月。
・Aさんの発症は、1996年の3月。
・診断が1998年1月ですから、
その間が1年10ヵ月もあります。
・サイトカインの嵐は、
発症から6ヵ月と言われています。
・超早期発見が、何より大事なのです。
□ 治療は、生物学的製剤で
・さあ、スタジオに
専門家の先生が来てくださいました。
・東京女子医科大学
膠原病リウマチ痛風センター所長の
山中寿 先生。
・さっそく聞いてみました。
・レントゲン写真だけでは
分からないくらい
診断が難しいのに、
なぜ超早期発見が
可能になったのでしょう?
・実は、検査方法も、
新しいものが出ている。
・超音波で調べる方法も、
あるらしい。
・骨が破壊される前の
嵐の前兆を見つけるのが、
超早期発見。
・Bさんは治療を開始してから、
月に1度
病院で診察を受けています。
・その際、行われるのが、
超音波による画像診断。
・いわゆる、エコー検査です。
・これで、炎症を発見できる。
・そして、嵐の前兆で止められれば、
骨の破壊は まぬがれると。
・前までは、
早期関節リウマチの診断は、
発症から2年まででした。
・これが2008年からは、
6ヵ月までになった。
・さらに、
生物学的製剤というものが
出てきました。
・これは、サイトカインの働きを
ピンポイントに抑える薬剤。
・注射することで、
伝令役であるサイトカインを
黙らせる。
・ただし、注意点があります。
・サイトカインは病気が進むと、
量と種類が急増する。
・なので、
その前に投薬を始めるのが、
すごく大切になる。
・この薬は、
病気の原因を抑えているわけでは
ありません。
・病気の状態をよくする薬。
・なので、投薬は
続ける場合が多いという。
・ただし、症状がよくなれば、
休止することもある。
・気になるのは副作用ですが、
免疫を抑える薬なので、
ウイルスや細菌への免疫作用が
低下することがあるそう。
・さあ、超早期に発見するために
知っておきたいことです。
<関節リウマチのサイン>
・関節の腫れ。
・触るとブヨブヨ。
・朝の痛みや違和感。
・見分けるポイントは、
手指の第2関節、第3関節、
それと手首が、
痛んだり腫れたりする。
・腫れている部分を
横から押さえると
ゴムのようにやわらかいのも
注意。
・朝起きた時に指を動かすと、
痛かったり
動かしにくかったりするのも
要注意。
・受診する場合ですが、
今だとリウマチ科があるそう。
・もしない場合は、
整形外科や内科へ。
・5年の間に医学は進歩し、
リウマチは超早期発見で、
寛解できるようになったのか!
・ありがとう、そして、
ガッテン! ガッテン!
□ 指の運動
・超早期発見できるようになったのは
うれしいのですが、
以前から治療している人たちは
どうすればいいんだろう?
・寛解は難しいのですが、
指は動くようになるといいます。
・その方法とは?
・東京都に住む、67歳の女性。
・15年前に、関節リウマチを発症。
・骨が変形してしまい、
ひどい時は右手の指が
まったく動かなかった。
・ところが今では、
趣味のスケッチを
再開するまでになりました。
・でも、どうやって、
ここまで回復したんでしょうね。
・ヒントは、グーにパー?
・手が動かなくなるのは、
悪循環からだという。
・痛いから動かさない。
・痛いから動かさない。
↓
・血流が悪くなる。
↓
・筋肉が硬くなる。
↓
・関節が動かない。
↓
・痛いから動かさない。
↓
・以下、ループ。
・あまりに痛いので、
骨が破壊されたと思い込んでしまう。
・なので、
動かさなくなってしまいます。
・でも実は、
まったく動かないのと、
痛くて動かせないのは、
違うんですね。
・関節が動かないからといって
必ずしも骨破壊が起きているとは
かぎらない。
・さあ、ここで、
この悪循環を断ち切ってくれる
先生が登場。
・リハビリテーション中伊豆温泉病院
作業療法士の林正春さん。
・まずは、筋肉が硬くならないような
運動をやっていきます。
・それによって、
関節を動かしやすくする。
<指のグーパー運動>
・肩の高さまで、両手を上げる。
・その状態で、
ゆっくり握って、開く。
・痛くならない程度に、
手のひらを最大限に開いて、
10秒 数える。
・その後、ゆっくりグーにします。
・この時、親指は外側に出す。
・この状態で、10秒 数えます。

・目安の回数は、
1セット3~5回。
・できれば、
毎日続けましょう。
・これは指を曲げる筋肉を
ゆっくりと伸張させる運動。
・痛みが出る場合は、
手のひらを上にして、
ゆっくりグーパーと
開いたり閉じたりしてもいい。
・静岡にある
リハビリテーション中伊豆温泉病院。
・林さんはそこで、
リウマチで固まった筋肉を
ほぐすリハビリを指導している。
・すると、失われていた握力が
あっという間に
戻ってくるといいます。
・ある女性は、
右の握力が94だったのが、
124にまで上がりました。
・左も、58から100に
上昇した。
(もちろん、単位はkgじゃありません)
・なるほど、
適度に動かす方がいいわけか。
・でも、注意点もあります。
・炎症や骨破壊、痛みがある場合は、
主治医やリハビリの専門家の
指示に従うこと。
□ リウマチに対するご理解を
・5年前にガッテンの取材を
受けてくれた女性。
・20年以上前から、
関節リウマチを患っている。
・外見だけでは不自由なのが
分からないため、
つらいこともあったといいます。
・電車に乗っていても、
揺れると自力で立つのが
難しい。
・そんな時は吊革や手すりに
つかまるのですが、
それでも激痛が走る。
・ある日、
手すりをゆずってもらおうと
お願いしたところ、
見た目では
不自由なのが伝わらないので、
いぶかしげな顔をされたこともある。
・心ないことを言われたことだって
あるといいます。
・でも、その一方で、
快く助けてもらったこともある。
・ちょっとした手助けで、
救われることだってあります。
・何よりも、病気を理解されることが、
救いにつながるようです。


□
リウマチの特集を見る度に、驚きます。
すごく痛いし、たいへんなんですね。
症状が進むと、日々の生活にも苦労する。
指の運動ですが、痛い中でも ゆっくり動かすのは大事なのか。
ヘルニアも、似てるかな。
急性時の鋭い痛みの時は安静にし、炎症が治まった鈍い痛み、慢性時には ゆっくりと動かす方がいい。
動かさないことで筋肉が硬くなって、余計に痛くなる。
あと、表に現れないたいへんさとか、理解されないと心を挫かれる点も、ちょっと似てるかも。
あるいは、これは、病気全般にいえるのかもしれない。
[まとめ]
・サイトカインの嵐が
滑膜に炎症を起こさせ
関節リウマチになる。
・サイトカインが増加する
発症から6ヵ月までに治療すると
寛解する可能性が出てくる。
・今は、超音波検査で、
関節の炎症が発見できる。
・サイトカインを抑えるには、
生物学的製剤を使う。
・関節リウマチのサインは、
関節の腫れ、
触るとブヨブヨ、
朝の痛みや違和感。
・手を動かさないと、
悪循環に陥る。
・指をゆっくりと動かす運動を。
次回は、「12月じゃないとダメ! これだ! 快感防災テク」。


→ 「ためしてガッテン 2012年のアーカイブ 8月~12月」
→ 「ヒザの痛み リウマチ テンプラ体操/カラだのキモチ」
サイトカインの嵐と早期発見の関係は?
カギを握るのは、6ヵ月だ。
生物学的製剤とは?
グーパー運動で、指が動くようになる?
今日のテーマは、リウマチ(リュウマチ、リューマチ)です。
ある日突然、手足に激痛が走るのだという。
埼玉県に住む47歳の女性は、リウマチのために手の指(の骨)が変形してしまいました。
腕を伸ばしたり、屈んだりするだけで、関節を針で刺すような痛みに襲われるという。
夜中に目が覚めてしまうため、普通に寝ることもできません。
2007年7月に、ガッテンでは「あなたを襲うリウマチ 患者100万人の真実」を放送。
関節に起こる骨の破壊、30代や40代でもかかることがある病気であること、早期発見が大事であることなどを、お伝えしました。
でも、街の人々の意識は、そんなに変わってないようです。
他人事であったり、お年寄りがなるイメージが、根強い。
でも、朗報もあります。
この5年の間に、医療が進化していたのです。
関節が壊れる前に、関節リウマチの勢いを抑えてしまう、そんな言葉が聞かれました。
リウマチで寝たきりだった人が走ってる。
これは、どういうことでしょう?
2012年12月12日放送の「ためしてガッテン」より、「関節が痛む人必見!知らぬ間にリウマチ治療が大進化」からのメモ書きです。

□ リウマチは治るか?
・まずは、5年前の放送の
復習から。
・関節リウマチは、
全身に激痛が走る。
・骨まで破壊される。
・進行を止められない。
・なので、早期発見が重要。
・でも、5年間で変わったことも
あるという。
・ここで登場したのが、
蝶々を持った黒子さん。
・本日の主役と書かれた
タスキをしています。
・リウマチの症状が書かれた
岩の上に蝶がとまると、
何か文字が出てきました。
・「寛解(かんかい)」と書かれている。
・寛解とは、完治ではないけれど、
症状がおさまり、ほぼ普通に
日常生活が送れる状態。
・つまり、
絶対に治らないと言われていた
あのリウマチの症状が
かなり軽減するということ。
□ リウマチの症状
・5年前、ガッテンで紹介した
患者さんの女性。
・両手の指、手首、ヒジ、肩も、
1年365日、ずっと痛い。
・あまりに痛いので、
包丁を握ることもできません。
・洗濯バサミをつまむだけで、
激痛が走ります。
・特に難しいのが手をひねる動作で、
そのため、ビンを開けるのに
補助具を使う。
・私たちの関節は、
滑膜(かつまく)という
膜に包まれています。
・滑膜からは、関節を
スムーズに動かすための
潤滑液が出ている。
・関節の中を実際に見てみると、
とっても滑らかなんですよ。
・しかし、関節リウマチになると、
これが一変してしまいます。
・関節の中が、ビロビロ。
・激しい炎症が起きて、
滑膜がボロボロになっちゃうんです。
・やがては骨まで破壊され、
大きく変形してしまう。
・埼玉県に住む47歳の女性は、
15年前に関節リウマチを
発症した。
・手の指が変形し、
曲がったままになってる。
・薬で何とか
痛みを抑えているのですが、
床に落ちた物を拾うだけで
激痛が走ります。
・なので、
マジックハンドを使う。
・お皿も持てないので、
お子さんなど
家族に助けてもらいます。
・毎日の家事が、
もうたいへん。
・病気の始まりは31歳の時、
肩の痛みを感じたことから。
・病院で診察してもらったところ、
検査の結果は
関節リウマチではないと言われた。
・4軒回ってようやく、
早期の関節リウマチだと
診断されました。
・ところが、
同じ早期の関節リウマチでも、
その後の経過がまったく
異なる人がいます。
・こちらは、
埼玉県に住む31歳の女性。
・全身が重くて刺さってて、
とにかく痛かったといいます。
・ずっと寝たきりの状態になって、
そのまま死んじゃうのかと
思ったほどです。
・それが薬を服用すること、1年。
・今では家事も、難なくこなします。
・ジョギングだって、してるんだ。
・でも、スタートが同じなのに、
どうして差が出たんでしょうか?
□ 症状の差
・手のX線写真を見ても、
47歳の女性Aさんと
31歳の女性Bさんでは
違いが明らか。
・47歳Aさんの指は、
かなり曲がっています。
・31歳Bさんの指は
まっすぐで
異常が見当たりません。
・ちなみに女性は、
30代40代の発症率が
高いそう。
・患者の比率は、
男性1に対し、女性は4。
男1:女4 です。
・診断を受けた時の病名は、
Aさんが早期関節リウマチ。
・Bさんも早期関節リウマチ。
・でも、この「早期」に
秘密が隠されているといいます。
・ここで、
関節リウマチを探せ!
・現役バリバリの医師たちが、
関節に起きている異変を
見破れるか実験です。
・用意したのは、3つのX線写真。
・素人には見分けがつきませんが、
プロならどうでしょう?
・実は1枚目は、
変形性関節症。
・これには、整形外科の先生が
正解しました。
・2枚目は骨折で、
これは全員が正解。
・じゃあ、3枚目が、
関節リウマチ?
・5人中、関節リウマチだと
答えた人は、
整形外科のベテラン医師
1人だけでした。
・でも、それも「?」付きで、
ちょっと自信なさ気です。
・実はそれほど、
診断は難しいんですね。
・X線写真に写る
骨が破壊されはじめた部分は
わずかなんです。
・リウマチの診断は
画像検査だけでなく、
問診や触診、血液検査などで、
総合的に判断されます。
・さて、AさんとBさんの話に戻ります。
・発症ですが、
47歳のAさんは
最初に肩が痛くなった。
・これが、31歳の時。
・31歳のBさんは、
手の指が痛くなりました。
・これが、30歳の時。
・関節の炎症である
滑膜炎であったのは
ふたりとも同じ。
・投薬ですが、Aさんは、
抗リウマチ薬、炎症剤、
鎮痛剤など。
・Bさんの薬は、
抗リウマチ剤など。
・ふたりの違い、分かりましたか?
・答えは、蝶々?
・てふてふ?
・お蝶夫人?
・黒子が操る蝶々がとまったのは、
診断された年代。
・Aさんは1998年の1月で、
Bさんは2011年の10月でした。
・蝶々は、Bさんの日付にとまりましたよ。
・これが意味するのは、何なんでしょう?
□ キーワードは、超早期
・関節リウマチが
重症化してしまうか否か、
その運命を分ける瞬間が
あったといいます。
・体に異常がないか
血管の中をパトロールする
免疫細胞。
・ウイルスや細菌を見つけると、
すかさずサイトカインという
物質を放出。
・このサイトカインは
いわば伝令役で、
敵の襲来を他の免疫細胞に
知らせてくれる。
・これによって免疫細胞が集結、
敵であるウイルスや細菌を
殲滅してくれるんですね。
・こうして私たちの体は、
外敵から守られているのです。
・ところが、
関節リウマチが発症する時は、
違ってきます。
・いつもはきちんと
敵を見分けていた免疫細胞が、
自分の関節を敵だと認識。
・サイトカインを放出し、
他の免疫細胞に呼びかけ、
攻撃してしまうのです。
・自分の体の一部なのに。
・こうして起こるのが、
滑膜炎なのでした。
・しかもです、
関節はウイルスなどと違って、
攻撃を受けても
なくなることはありません。
・いっこうに減らないので、
サイトカインは激増。
・まさに、サイトカインの嵐。
・大量のサイトカインが
免疫細胞を招集し、
関節を総攻撃させるのでした。
・こうなるともう
破壊は滑膜だけにとどまらず、
ついには骨まで
やられちゃうんですね。
・こうして、骨の変形が
起こるのでした。
・上で紹介した
サイトカインの嵐が起きる前に
治療を始めることが
できるかどうか、
これが5年前には
分からなかったことらしい。
・黒子さんの蝶々には
意味がありました。
・蝶々がくっついてたのは、
日付ではなく、
早期関節リウマチの部分だった。
・つまり、
蝶早期関節リウマチ。
・ちょう早期関節リウマチ。
・超早期!
・バンザーイ! バンザーイ!
・昔の大喜利かっ!
・超早期に発見できると、
元の生活に戻れるのか。
・では、超早期とは、
どのくらい早期なんでしょう?
・Bさんの発症は、2011年の8月。
・診断されたのが2011年10月なので、
その間は2ヵ月。
・Aさんの発症は、1996年の3月。
・診断が1998年1月ですから、
その間が1年10ヵ月もあります。
・サイトカインの嵐は、
発症から6ヵ月と言われています。
・超早期発見が、何より大事なのです。
□ 治療は、生物学的製剤で
・さあ、スタジオに
専門家の先生が来てくださいました。
・東京女子医科大学
膠原病リウマチ痛風センター所長の
山中寿 先生。
・さっそく聞いてみました。
・レントゲン写真だけでは
分からないくらい
診断が難しいのに、
なぜ超早期発見が
可能になったのでしょう?
・実は、検査方法も、
新しいものが出ている。
・超音波で調べる方法も、
あるらしい。
・骨が破壊される前の
嵐の前兆を見つけるのが、
超早期発見。
・Bさんは治療を開始してから、
月に1度
病院で診察を受けています。
・その際、行われるのが、
超音波による画像診断。
・いわゆる、エコー検査です。
・これで、炎症を発見できる。
・そして、嵐の前兆で止められれば、
骨の破壊は まぬがれると。
・前までは、
早期関節リウマチの診断は、
発症から2年まででした。
・これが2008年からは、
6ヵ月までになった。
・さらに、
生物学的製剤というものが
出てきました。
・これは、サイトカインの働きを
ピンポイントに抑える薬剤。
・注射することで、
伝令役であるサイトカインを
黙らせる。
・ただし、注意点があります。
・サイトカインは病気が進むと、
量と種類が急増する。
・なので、
その前に投薬を始めるのが、
すごく大切になる。
・この薬は、
病気の原因を抑えているわけでは
ありません。
・病気の状態をよくする薬。
・なので、投薬は
続ける場合が多いという。
・ただし、症状がよくなれば、
休止することもある。
・気になるのは副作用ですが、
免疫を抑える薬なので、
ウイルスや細菌への免疫作用が
低下することがあるそう。
・さあ、超早期に発見するために
知っておきたいことです。
<関節リウマチのサイン>
・関節の腫れ。
・触るとブヨブヨ。
・朝の痛みや違和感。
・見分けるポイントは、
手指の第2関節、第3関節、
それと手首が、
痛んだり腫れたりする。
・腫れている部分を
横から押さえると
ゴムのようにやわらかいのも
注意。
・朝起きた時に指を動かすと、
痛かったり
動かしにくかったりするのも
要注意。
・受診する場合ですが、
今だとリウマチ科があるそう。
・もしない場合は、
整形外科や内科へ。
・5年の間に医学は進歩し、
リウマチは超早期発見で、
寛解できるようになったのか!
・ありがとう、そして、
ガッテン! ガッテン!
□ 指の運動
・超早期発見できるようになったのは
うれしいのですが、
以前から治療している人たちは
どうすればいいんだろう?
・寛解は難しいのですが、
指は動くようになるといいます。
・その方法とは?
・東京都に住む、67歳の女性。
・15年前に、関節リウマチを発症。
・骨が変形してしまい、
ひどい時は右手の指が
まったく動かなかった。
・ところが今では、
趣味のスケッチを
再開するまでになりました。
・でも、どうやって、
ここまで回復したんでしょうね。
・ヒントは、グーにパー?
・手が動かなくなるのは、
悪循環からだという。
・痛いから動かさない。
・痛いから動かさない。
↓
・血流が悪くなる。
↓
・筋肉が硬くなる。
↓
・関節が動かない。
↓
・痛いから動かさない。
↓
・以下、ループ。
・あまりに痛いので、
骨が破壊されたと思い込んでしまう。
・なので、
動かさなくなってしまいます。
・でも実は、
まったく動かないのと、
痛くて動かせないのは、
違うんですね。
・関節が動かないからといって
必ずしも骨破壊が起きているとは
かぎらない。
・さあ、ここで、
この悪循環を断ち切ってくれる
先生が登場。
・リハビリテーション中伊豆温泉病院
作業療法士の林正春さん。
・まずは、筋肉が硬くならないような
運動をやっていきます。
・それによって、
関節を動かしやすくする。
<指のグーパー運動>
・肩の高さまで、両手を上げる。
・その状態で、
ゆっくり握って、開く。
・痛くならない程度に、
手のひらを最大限に開いて、
10秒 数える。
・その後、ゆっくりグーにします。
・この時、親指は外側に出す。
・この状態で、10秒 数えます。

・目安の回数は、
1セット3~5回。
・できれば、
毎日続けましょう。
・これは指を曲げる筋肉を
ゆっくりと伸張させる運動。
・痛みが出る場合は、
手のひらを上にして、
ゆっくりグーパーと
開いたり閉じたりしてもいい。
・静岡にある
リハビリテーション中伊豆温泉病院。
・林さんはそこで、
リウマチで固まった筋肉を
ほぐすリハビリを指導している。
・すると、失われていた握力が
あっという間に
戻ってくるといいます。
・ある女性は、
右の握力が94だったのが、
124にまで上がりました。
・左も、58から100に
上昇した。
(もちろん、単位はkgじゃありません)
・なるほど、
適度に動かす方がいいわけか。
・でも、注意点もあります。
・炎症や骨破壊、痛みがある場合は、
主治医やリハビリの専門家の
指示に従うこと。
□ リウマチに対するご理解を
・5年前にガッテンの取材を
受けてくれた女性。
・20年以上前から、
関節リウマチを患っている。
・外見だけでは不自由なのが
分からないため、
つらいこともあったといいます。
・電車に乗っていても、
揺れると自力で立つのが
難しい。
・そんな時は吊革や手すりに
つかまるのですが、
それでも激痛が走る。
・ある日、
手すりをゆずってもらおうと
お願いしたところ、
見た目では
不自由なのが伝わらないので、
いぶかしげな顔をされたこともある。
・心ないことを言われたことだって
あるといいます。
・でも、その一方で、
快く助けてもらったこともある。
・ちょっとした手助けで、
救われることだってあります。
・何よりも、病気を理解されることが、
救いにつながるようです。
□
リウマチの特集を見る度に、驚きます。
すごく痛いし、たいへんなんですね。
症状が進むと、日々の生活にも苦労する。
指の運動ですが、痛い中でも ゆっくり動かすのは大事なのか。
ヘルニアも、似てるかな。
急性時の鋭い痛みの時は安静にし、炎症が治まった鈍い痛み、慢性時には ゆっくりと動かす方がいい。
動かさないことで筋肉が硬くなって、余計に痛くなる。
あと、表に現れないたいへんさとか、理解されないと心を挫かれる点も、ちょっと似てるかも。
あるいは、これは、病気全般にいえるのかもしれない。
[まとめ]
・サイトカインの嵐が
滑膜に炎症を起こさせ
関節リウマチになる。
・サイトカインが増加する
発症から6ヵ月までに治療すると
寛解する可能性が出てくる。
・今は、超音波検査で、
関節の炎症が発見できる。
・サイトカインを抑えるには、
生物学的製剤を使う。
・関節リウマチのサインは、
関節の腫れ、
触るとブヨブヨ、
朝の痛みや違和感。
・手を動かさないと、
悪循環に陥る。
・指をゆっくりと動かす運動を。
次回は、「12月じゃないとダメ! これだ! 快感防災テク」。
→ 「ためしてガッテン 2012年のアーカイブ 8月~12月」
→ 「ヒザの痛み リウマチ テンプラ体操/カラだのキモチ」



「ヒザの痛み リウマチ テンプラ体操/カラだのキモチ」
ヒザに痛みを抱える人は意外と多く、日本には 約3000万人いるといわれています。
しかも、これから迎える冬には、痛みを訴える人が急増するらしい。
ヒザって、どれくらい負担がかかっているんだろう?
痛みの正体は?
リウマチって、どんなもの?
10月3日放送の「カラだのキモチ」では、「その思い込みが危ない?! ヒザの痛み 常識・非常識」と題して、ヒザにまつわる新常識を紹介してくれました。

□ ヒザが痛い時に階段を下りるには
ヒザが痛い時に階段を下りるとしたら、どちらの足を先に出したらいいんでしょう?
正解は、痛む足かららしい。
階段を下りようと足を出す時、軸足(階段に残る足)の方に体重がかかり、負担が。先に出した足より、残った後ろ足に負荷がかかるんですね。
だから、負担をかけたくない方の足を先に出した方がいい。
階段を下りる時は、痛む足から1段ずつ下りると、ヒザに負担が少なく痛みが軽減するようです。
ちなみに、上る時は逆で、痛まない足から1段ずつ上ると、ヒザの痛みが軽減するらしい。(上る時に、ぐっと踏ん張るから?)
□ なぜ、ヒザは痛むの?
ヒザの痛みの原因となるのが、軟骨。
そもそも軟骨とは、大腿骨と脛骨の端を覆っている、主にコラーゲンからなる、やわらかい骨のことです。
これがヒザにかかる衝撃を吸収し、クッションの役割を果たしています。
でも、軟骨がすり減り骨と骨が直接ぶつかると、その表面が傷つき圧迫されることで、痛みが生じてしまいます。
結果、骨はボロボロになり、変形してしまうことも。
軟骨がすり減り、痛みを伴いながらヒザの骨が変形していく病気を、“変形性膝関節症”と言います。
日本には、約2400万人の患者さんがいるそうです。
□ どうして、軟骨はすり減るの?
膝の痛みの原因は軟骨らしいのですが、ではなぜ、軟骨がすり減ってしまうのでしょう?
軟骨がすり減る最大の原因は、加齢らしい。
加齢に伴い、軟骨はすり減り、表面を覆うコラーゲンの組織が傷んでくるそう。
結果、軟骨がすり減り、痛みまで伴うんですね。
特に女性は、閉経後、女性ホルモンの影響により、軟骨が傷みやすくなるそう。
そして、日常生活の中で、ヒザの痛みを悪化させてしまう原因となる歩き方があるそうです。
・がに股歩きの人は、ヒザの内側に重心が偏り、内側の軟骨のすり減りが早い。
・内股歩きの人は、ヒザの外側に重心が偏り、外側の軟骨のすり減りが早い。
そして、影響を与えるのが、肥満。
体重が50㎏ と100㎏ の人では、立っている時の体重差は 50㎏ですが、歩く時の負荷の差は、3倍の 150㎏ になるそう。
これが走る時には7倍になって、およそ 350㎏もの差になります。
体重が重ければ重いほど、ヒザにかかる負担が増え、痛みも増してしまうようです。
□ ヒザを健康に保つには?
軟骨がヒザ痛と関係しているのは分かりましたが、ヒザを健康に保つには、どうしたらいいのでしょう?
軟骨は、関節液がヒザに回ることによって、軟骨に栄養素が沁み込むそうなのです。
それで軟骨細胞を元気にすればいい。
ヒザ痛改善のポイントは、関節液。
関節液とは、ヒザの動きをスムーズにする潤滑油の働きをする液体。その成分は主に、ヒアルロン酸です。
関節液は関節を包む滑膜から分泌されるのですが、どうすれば出てくれるのでしょう?
実は、関節液はヒザを動かすことによって分泌されるそうです。
ところが、ヒザに痛みを抱えている人の場合、ヒザを動かすことはなかなかできません。
そこで役立つのが、テンプラという方法。
テンは10回で、プラはプラプラ ヒザを振るということ。
テンプラ体操といって、痛む膝の関節を、イスに座って、10回、振り子運動させる。
この体操を行うと、ヒザに負担をかけずに関節液が出るため、痛みが和らぐらしい。
□ ヒザの痛みに、テンプラ体操
イスに座り、両手で、痛む足の膝を抱えて、宙に浮かせる。
ヒザの力を抜いて、10回、軽く振る。
この時、ヒザを伸ばしきらない程度に上げ、そこからゆっくり落とすように振るのがポイント。
自然な振り子運動で、どうぞ。
立ち上がる時など、痛みの出やすい動きはじめに行うと、効果的なんだそうです。
□ 冷やす? 温める?
打ち身やねんざについては、急性炎症だから、患部を冷やした方がいいそうです。
逆に、持続する、慢性的な痛みには、血流などをよくする目的で、患部を温めたほうがいいそう。
□ グルコサミンやヒアルロン酸について
グルコサミンやヒアルロン酸などは、消化されて糖質に変化して吸収されるので、経口摂取(食べること)で関節に到達することは、ほとんどないらしい。
□ リウマチとは?
関節の病気といえば、リウマチがあります。
リウマチというとお年寄りの病気というイメージがありますが、その原因は加齢ではないそう。
実際、関節リウマチの発症者数を年代別にみてみると、最も多いのは40代。特に女性が多く、患者の8割を占める。
関節リュウマチは一度 発症すると完治することのない、不治の病。
その原因は、自己免疫疾患の一部と考えられているそうです。
関節リュウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、腫れや痛みが出る病気。
そもそも免疫とは身体の中に侵入したウイルスや細菌を排除するための仕組みです。しかし、その免疫に異常が起こると、関節の内側を覆っている滑膜を攻撃し、次第に炎症が進んでしまいます。
この滑膜の炎症こそが、関節リュウマチの腫れや痛みの原因らしい。
その影響で次第に、骨や軟骨は破壊され、関節が変形してしまう。
ただ、今は研究も進み、投薬で痛みを抑えられるようになってきているそうです。
□ リウマチに必要なことは?
患者さんの8割は、女性だといいます。
女性に多いというのは、ひとつには出産、そして子育てのストレス、閉経や更年期の障害で、内的なものが変化(女性ホルモンの影響で免疫の働きが異常化)してくるからだといわれます。そういう時期に、発症しやすいそう。
なので、肉体的なストレスなど、ホルモンに異常をきたすようなことは避ける方がいい。
そして、何といっても必要なのは、早期発見。
早期発見をして、正しい治療をすることが、現時点で、一番大事なのだそうです。
関節リュウマチ・セルフチェック
・朝、手足がこわばって動かしにくい
・手の関節が腫れている
・3つ以上の関節が腫れている
・左右対称に腫れている関節がある
・ヒジやヒザにコブ状の腫れ物がある
先生によれば、2つ以上の症状があった場合には、関節リュウマチを含めた関節炎である可能性があるとのこと。
なので、整形外科やリウマチ科で、受診や検査をした方がいい。
特に、起床時に関節にこわばりがあるのは、リウマチの疑いがあるそうです。(あくまで疑いですが)
→ 「カラダのキモチ 最終回と目次」
□
リウマチというと昔のドラマなんかではおなじみなんですが、身近にリウマチの人がいなかったので、どんなものかよく分かっていませんでした。
今でもよく分かっているとはいえませんが、たいへんつらそうな病気ですね。原因そのものを治す方法が確立されていないということなので、今のところ対処療法しかないみたいだし。
(寛解と言って、持続的に症状が軽減することは、今は十分にあるそうです。だから、受診、早期発見、早期治療が大切になる)
最近、免疫の働きによる病気が多い印象。花粉症だって、そうですよね。
身体の味方であるはずの免疫が、社会や環境の変化からか、自らを攻撃してしまう。
いろいろと考えさせられます…
しかも、これから迎える冬には、痛みを訴える人が急増するらしい。
ヒザって、どれくらい負担がかかっているんだろう?
痛みの正体は?
リウマチって、どんなもの?
10月3日放送の「カラだのキモチ」では、「その思い込みが危ない?! ヒザの痛み 常識・非常識」と題して、ヒザにまつわる新常識を紹介してくれました。

□ ヒザが痛い時に階段を下りるには
ヒザが痛い時に階段を下りるとしたら、どちらの足を先に出したらいいんでしょう?
正解は、痛む足かららしい。
階段を下りようと足を出す時、軸足(階段に残る足)の方に体重がかかり、負担が。先に出した足より、残った後ろ足に負荷がかかるんですね。
だから、負担をかけたくない方の足を先に出した方がいい。
階段を下りる時は、痛む足から1段ずつ下りると、ヒザに負担が少なく痛みが軽減するようです。
ちなみに、上る時は逆で、痛まない足から1段ずつ上ると、ヒザの痛みが軽減するらしい。(上る時に、ぐっと踏ん張るから?)
□ なぜ、ヒザは痛むの?
ヒザの痛みの原因となるのが、軟骨。
そもそも軟骨とは、大腿骨と脛骨の端を覆っている、主にコラーゲンからなる、やわらかい骨のことです。
これがヒザにかかる衝撃を吸収し、クッションの役割を果たしています。
でも、軟骨がすり減り骨と骨が直接ぶつかると、その表面が傷つき圧迫されることで、痛みが生じてしまいます。
結果、骨はボロボロになり、変形してしまうことも。
軟骨がすり減り、痛みを伴いながらヒザの骨が変形していく病気を、“変形性膝関節症”と言います。
日本には、約2400万人の患者さんがいるそうです。
□ どうして、軟骨はすり減るの?
膝の痛みの原因は軟骨らしいのですが、ではなぜ、軟骨がすり減ってしまうのでしょう?
軟骨がすり減る最大の原因は、加齢らしい。
加齢に伴い、軟骨はすり減り、表面を覆うコラーゲンの組織が傷んでくるそう。
結果、軟骨がすり減り、痛みまで伴うんですね。
特に女性は、閉経後、女性ホルモンの影響により、軟骨が傷みやすくなるそう。
そして、日常生活の中で、ヒザの痛みを悪化させてしまう原因となる歩き方があるそうです。
・がに股歩きの人は、ヒザの内側に重心が偏り、内側の軟骨のすり減りが早い。
・内股歩きの人は、ヒザの外側に重心が偏り、外側の軟骨のすり減りが早い。
そして、影響を与えるのが、肥満。
体重が50㎏ と100㎏ の人では、立っている時の体重差は 50㎏ですが、歩く時の負荷の差は、3倍の 150㎏ になるそう。
これが走る時には7倍になって、およそ 350㎏もの差になります。
体重が重ければ重いほど、ヒザにかかる負担が増え、痛みも増してしまうようです。
□ ヒザを健康に保つには?
軟骨がヒザ痛と関係しているのは分かりましたが、ヒザを健康に保つには、どうしたらいいのでしょう?
軟骨は、関節液がヒザに回ることによって、軟骨に栄養素が沁み込むそうなのです。
それで軟骨細胞を元気にすればいい。
ヒザ痛改善のポイントは、関節液。
関節液とは、ヒザの動きをスムーズにする潤滑油の働きをする液体。その成分は主に、ヒアルロン酸です。
関節液は関節を包む滑膜から分泌されるのですが、どうすれば出てくれるのでしょう?
実は、関節液はヒザを動かすことによって分泌されるそうです。
ところが、ヒザに痛みを抱えている人の場合、ヒザを動かすことはなかなかできません。
そこで役立つのが、テンプラという方法。
テンは10回で、プラはプラプラ ヒザを振るということ。
テンプラ体操といって、痛む膝の関節を、イスに座って、10回、振り子運動させる。
この体操を行うと、ヒザに負担をかけずに関節液が出るため、痛みが和らぐらしい。
□ ヒザの痛みに、テンプラ体操
イスに座り、両手で、痛む足の膝を抱えて、宙に浮かせる。
ヒザの力を抜いて、10回、軽く振る。
この時、ヒザを伸ばしきらない程度に上げ、そこからゆっくり落とすように振るのがポイント。
自然な振り子運動で、どうぞ。
立ち上がる時など、痛みの出やすい動きはじめに行うと、効果的なんだそうです。
□ 冷やす? 温める?
打ち身やねんざについては、急性炎症だから、患部を冷やした方がいいそうです。
逆に、持続する、慢性的な痛みには、血流などをよくする目的で、患部を温めたほうがいいそう。
□ グルコサミンやヒアルロン酸について
グルコサミンやヒアルロン酸などは、消化されて糖質に変化して吸収されるので、経口摂取(食べること)で関節に到達することは、ほとんどないらしい。
□ リウマチとは?
関節の病気といえば、リウマチがあります。
リウマチというとお年寄りの病気というイメージがありますが、その原因は加齢ではないそう。
実際、関節リウマチの発症者数を年代別にみてみると、最も多いのは40代。特に女性が多く、患者の8割を占める。
関節リュウマチは一度 発症すると完治することのない、不治の病。
その原因は、自己免疫疾患の一部と考えられているそうです。
関節リュウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、腫れや痛みが出る病気。
そもそも免疫とは身体の中に侵入したウイルスや細菌を排除するための仕組みです。しかし、その免疫に異常が起こると、関節の内側を覆っている滑膜を攻撃し、次第に炎症が進んでしまいます。
この滑膜の炎症こそが、関節リュウマチの腫れや痛みの原因らしい。
その影響で次第に、骨や軟骨は破壊され、関節が変形してしまう。
ただ、今は研究も進み、投薬で痛みを抑えられるようになってきているそうです。
□ リウマチに必要なことは?
患者さんの8割は、女性だといいます。
女性に多いというのは、ひとつには出産、そして子育てのストレス、閉経や更年期の障害で、内的なものが変化(女性ホルモンの影響で免疫の働きが異常化)してくるからだといわれます。そういう時期に、発症しやすいそう。
なので、肉体的なストレスなど、ホルモンに異常をきたすようなことは避ける方がいい。
そして、何といっても必要なのは、早期発見。
早期発見をして、正しい治療をすることが、現時点で、一番大事なのだそうです。
関節リュウマチ・セルフチェック
・朝、手足がこわばって動かしにくい
・手の関節が腫れている
・3つ以上の関節が腫れている
・左右対称に腫れている関節がある
・ヒジやヒザにコブ状の腫れ物がある
先生によれば、2つ以上の症状があった場合には、関節リュウマチを含めた関節炎である可能性があるとのこと。
なので、整形外科やリウマチ科で、受診や検査をした方がいい。
特に、起床時に関節にこわばりがあるのは、リウマチの疑いがあるそうです。(あくまで疑いですが)
→ 「カラダのキモチ 最終回と目次」
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リウマチというと昔のドラマなんかではおなじみなんですが、身近にリウマチの人がいなかったので、どんなものかよく分かっていませんでした。
今でもよく分かっているとはいえませんが、たいへんつらそうな病気ですね。原因そのものを治す方法が確立されていないということなので、今のところ対処療法しかないみたいだし。
(寛解と言って、持続的に症状が軽減することは、今は十分にあるそうです。だから、受診、早期発見、早期治療が大切になる)
最近、免疫の働きによる病気が多い印象。花粉症だって、そうですよね。
身体の味方であるはずの免疫が、社会や環境の変化からか、自らを攻撃してしまう。
いろいろと考えさせられます…


